通訳者Mのブログ

通訳と、人生と。

リプロダクションは朝

リプロダクションをやるなら朝がおすすめです。

早起きの効用は多くの書籍で述べられていますのでそちらに譲るとして。

朝は単純に脳みそがまだ綺麗です。クリーンな状態です。疲れていません。

疲れていないからこそ、少し背伸びをして練習できます。

仕事が終わって帰ってきてから使い古した脳みそをそこからリブートするのは、効率と効果が落ちる気がしています。(練習をやったという自己満に終わっている自分もかつてはいましたが)リプロダクションが出来ないのか自分が疲れているのかが分からないからです。

疲れていないからこそ、2文だったところを5文にするとか1パラ全部やってみるとか挑戦できます。

 

朝おすすめです。

 

 

 

リプロダクションをやることで通訳に必要なリテンション力が伸びる、というのももう周知の事実だと思いますが、どう実行するかが大事です。

一語一句覚えなくてはいけない、とガチガチになって聞いていても、人の話が心に落ちません。音として耳に入ってきても、理解していないことはただの音の再生でしかないので、やるのもツライですが、あまり意味ないです。

何を云わんとしているかを文字ではなく、風景として覚える。

 

Let me tell you about the early customers, you know, it's it's incredibly hard- presumably same in all industries. But in banking industry... 

 

こう続いていく文章を聞いていて、

うわ言い直した、副詞はincredibly でpresumablyで、

と字面だけ追いかけていると、全体としてこの人が何を言おうとしているのかつかめなくなります。

 

勝手に想像します。私が最初にこの文章を聞いたときには、椅子に足を組んでいるこのCEOが「最初の頃のお客さんはさ..」とフランクに話しているのが浮かびました。その聞いた話も想像します。すると頭の中にストーリーのコマが出来てきます。

ストーリーがあることは人間忘れにくいので円周率を何桁も記憶できる方も数字でストーリーを作っていると聞いたことがあります。

 

音を再生するのはリプロダクションの練習として意味がないのは通訳をしないといけないからです。通訳は話している人が伝えたかった風景をそのまま伝えるのが仕事なので、自分が頭の中で作った風景が話している人のそれと近ければ近いほど、正確性も上がって、かつ分かりやすい通訳になります。仮にそんなことが何文も出来ればですが物理的に音を覚えていて、それを日本語に直しても風景が伝わらないので聴いている人には腹落ちしません。

 

 

現場ではスピーカーが話し出して止まらないこともあります。通訳を忘れて最後まで挨拶する人もいるし、会議において延々と止まらない人もいます。

 

逐次通訳ではノートは取らせてもらえるのでリプロダクションよりはるかに楽ですが、出来るだけ自分のリテンション力を長く長く鍛えておくと自分が楽ですよね。