通訳者Mのブログ

通訳と、人生と。

もがいて準備を。本番はスマイルで。

通訳する側にとって一番いやなのは、全く想定外のこと。

悲しいかな、想定外のことが十二分にあり得る環境にいるのが通訳者です。

 

発表者が突然1人増えたり、ウィスパリングと言っていたけれど逐次通訳になったり、一生懸命話すスピーカーのある国の英語が全く理解出来なかったり、資料はないと言っていたのにプレゼンの前に自分を含め参加者に配られたり、会談の席についてみたらA42枚分ぎっしり英語が入った紙をスピーカーが持っていたり。

 

もちろん頼んでも絶対に前もって資料共有できない類のものも、あると思います。官公庁や外国政府のお仕事の場合には、そうしたことは往々にしてあって、もう腹をくくるしかないですよね。

 

大抵の想定外は、自分の覚悟だけで乗り切れます。それから自分のあってないに等しい実力を頼りにして。そう思うと、想定外とはいえ思っていたよりひどいことは起きない、とも言えます。ただそう思えるために必要なのは、想定外のビックリ事態に耐えられる、準備です。

 

「読み飛ばしたあの辺り重点的に話されたらどうしよう」

「この都市、地図で位置見ておけばよかった」

「あの省略アルファベットなんだったっけ」

「あれなんて発音するんだろう、まさかここで来るか」

「関連する情報やっぱりもう少しリサーチするんだった」

 

準備している時に「まあ大丈夫だろう」という意識で準備していると、本番のびっくりに耐えられません。びっくり要素が多いと、実力が出せません。準備では最悪を想定します。もちろんスピーカーになることはできないし、スピーカーと同じレベルの脳を短期間で育てることは不可能です。それでもこの肩書きで、この分野に関して、誰に向けて話すのか。そうした情報を頂いたら当日本人に会うまで自分が最終的に目指すスピーカーのシルエット、背景色を想像して、すこしずつパズルのピースをリサーチしながら埋めていきます。そうすると初対面で会った時にも、なんだか初めて会った気がしません。そういった意味でサプライズのレベルを下げていきます。サプライズを少なくすることで、ただでさえ少ない実力がしっかり発揮できるような、気がしています。