通訳者Mのブログ

通訳と、人生と。

資料がなく日本語を英語へ同時通訳するときのお話

日本語から英語への同時通訳する話です。

 

日英同時通訳で資料が何もないような仕事では、どんなことが出る可能性があるか可能な限りリサーチします。少しでも知っていることが出れば、だいぶ楽ですが全く寝耳に水のものだと、うまくいきません。(それでもうまく仕上げられるように日々研鑽です。)

 

練習していても感じることですが、やっぱり3人いるんですよね。同時通訳をしているときというのは。

 

1人は、日本語を聴いて、それを英語で話す自分

1人は、その英語を聞きつつ、もう流れてしまった日本語部分を聞いておいて、make senseする文章を作るように日本語理解と英文調節をする自分

1人は、この先に何が出てくるだろうか予測をする自分

 

 

この3人目は、以前の3人目と違います。

以前は、スピーカーと距離感が持てているかを監視する自分でした。この距離感は、2人目と3人目が仕事をしていれば自然に取れるものだと分かってきました。距離感は大事です。

 

都内一般道路を走っていると前方の車両が近いです。前方を走るドライバーが運転がうまいとは限りません。いきなりブレーキを踏まれます。目の前を走る車しか見ていないと自分もそれに伴ってブレーキをいきなり踏むほかありません。大事なのは自分の前を走る車2,3台の動きを予測しながら走ることです。そうすると、前の車がいきなりブレーキを踏む度に自分もブレーキを踏むということはなくなります。前の車のフロントガラスから大抵は2台前の車の後方ランプが見えます。

 

通訳もおんなじ感覚なのです。

スピーカーの話す雰囲気、流れがあります。口調があります。息遣いもあります。一方で予測が全くできないこともあります。原稿を読んだりすることも。そんなとき対処方法はありませんが、自爆対策としていつ急ブレーキを踏まれてもいいように、後ろに何が来ても対応できるように文を組むことです。

He mentioned that....とthat SVで作ろうと構えて待っていて、うまく後ろにはまらなかったらどうするんですかということです。He said as followsとか、Given what he touched とかで、片づけておきます。

 

急ブレーキを踏まれてバンパーがつぶれるくらいならまだしも、同時通訳の場合は予測しないで訳していると、聴いている人も道連れになります。

 

いまのところ本番に毎回3人はどうしても動員出来ません。動員できる時もあるけれど、緊張もそれなりに伴うし、集中力が切れて日本語でも聞き取れなくなること、あります。この3人目が鍵なのです。1人目と2人目がいるのは通訳する時にふつうのことだからです。

 

3人をいつも動員出来たらなあ、と思います。