通訳者Mのブログ

通訳と、人生と。

雨とトマト缶

店内は珈琲豆を挽いた煙でうす茶色い

 

ドリッパーの白い陶器を丁寧に包んでもらって

樽に入ったいつも頼まない種類の豆、その歴史が手書きで書いてある

 

挽いてもらっている間に珈琲が飲める一角が設けられている

机に雑誌や切り抜きの新聞集が重なっている

消えゆくローカル線、という題の雑誌が目に入る

 

 

外は相変わらず冷たい雨

首からかけていたイヤホンを耳にしようとして

雨の音が鼓膜に響いて、このまま雨を聴いて帰ろうかな

 

ヒールの音と雨のパチパチする音と

濡れた道路を車が走って猫が忙しそうに横断する

 

買い物袋の中で揺れるトマト缶

 

 

this is my life

何もない、色々ある日常

 

ダイナミックなパーティーや鋭い視線が飛び交う会議室で通訳をして、

達成感のある心地いい疲れがある時ばかりが人生じゃない

 

あなたと手をつないで、電車に揺られて他愛もない話

混んでくる車内でよく見えるスーツの色

 

何でもないひと時

 

 

こういう何もない、ニュアンスのある日が数珠みたいに連なって、ストーリーになる

ストーリーを語ろうと思って生きるんじゃなくてね