通訳者Mのブログ

通訳と、人生と。

リプロダクションのリアル1

リプロダクションについて質問頂きました。

人様に物申せる立場にないですが、

一学習者として考えを共有したいと思いましたので

リアルなところ、実際にやっていて感じることを少しまとめます。

いつもより長いので、お好きなところから読んでください。

 

①リプロダクションやり始めた時の問題 

②どうやって嫌だったタスクからルーティーンへ変えたのか

③今の課題(リプロダクションのリアル2へ続く)

 

リプロダクションは1文を聞いて同じように繰り返す訓練。

記憶保持と内容理解、英語力向上が見込める訓練です。

 

①リプロダクションをやり始めた時の問題

1:初めの3語で、「あれ、なんだった?」

2:時間が経つと同じところが出来なくなっている。

 

1の問題は内容によっては今でも普通に起こります。今日は金融機関のCEOスピーチでやられました。でも「難しいわ」「出来ないわ」って言うのは簡単で、なぜ出来ないか、に頭のエネルギーを使うべきですよね。それをするようになってから落ち込まなくなりました。

なぜ3語、5語しか出てこないかと言えば、

本当は『スピーカーのいうことを聞いてない』からだと、私は思ってます。

「繰り返さなきゃ、あそこはjustで、scaled のあとはtoで」なんて考えていると、

そのスピーカーが『伝えたいメッセージ』なんて聞いちゃいないんです。

 

円周率を何十桁も空で言える方たちは数字を丸暗記しません。

ストーリーを作っています。

私たちもストーリーをちゃんと聞かなきゃです。

2の問題だって、内容が分かっていれば暗記ゲームではないのだから、

真っ白になることはないはずなんです。

 

②どうやって嫌なタスクからルーティーンにしたか

これには2つ理由があります。

1:私がコーチと慕う通訳学校の講師がリプロダクションを完璧にやることを宿題にした。(強制的)

2:プロ通訳者のコーチが20年間続けてきていることの蓄積で彼の今があるなら、信じてやってみよう、と何も考えずに身体がルーティーンだと覚えるまでやった。その結果、出来るようになる長さが伸びた→嬉しい→繰り返す→出来る長さが伸びる、の好循環。もちろん出来るようになった!と思えない時期もあります。

当たり前です、人間ですから。

 

1については「覚えてもいいから完璧にやってこい」という言葉がありました。宿題をやってないと思われたくないので、文字通り覚えるくらいまでやっていっていました。覚えよう、としたのではなく、何度もやるから覚えてしまう、のが実態です。そしてそのイントネーションや話し方まで覚えた英語は「こうしたことを言いたいときにはこう言えばいいのか」という、いわば通訳の理想像になります。

そうすると自分が話す英語がどれだけ安っぽいか、どれだけ日本人が話しそうな英語を口にしているかよく分かります。それがイイ。

 

2:身体がルーティーンと覚えるまで、というのがミソで、机について勉強しようと思った時リプロダクションから逃げて違うことをやろうとしない自分が現れたらイイ感じじゃないでしょうか?

通訳に限らず、テニスでも野球でも、一流アスリートは皆呆れるほど単調な練習を繰り返します。やっていない人が聞いたら「すごいねえ」で終わる話です。

でもその呆れるほど単調な練習を繰り返した先にしか見えない何かがあるんです。

その何かというのは、効果よりももっと3Dなものです。身体全体で分かるレベルが上がる感じです。そうすると「考える」 ことよりも先に「感じる」神経が鋭くなる気がします。その「感じる」感覚を求めて、忘れないように、維持するため、さらに鋭くするため、一流アスリートは「毎日」人が聞いて呆れる練習を繰り返すんだと思います。

出来ても、出来なくても、やる。やり続ける。

終わりがない道のりで、山もあり谷もあり。

続けたところで急に普通電車が快特には変わらない、けど、

普通電車を一回降車したら、コツコツやることをやめたら、

その前を走る普通電車にさえ追いつけない。

 

だからこそ、

「出来ないな」と思いながらも

課題は何か考えながら、ムダに思えることも考えながら

それでも続けることが大事なのだと思うのです。

 

③今の課題はリプロダクションのリアル2へつづく。