通訳者Mのブログ

通訳と、人生と。

自分の通訳クオリティを常に意識すること

日本に住んでいると多くの方は大学受験を経験されると思います。

希望校を決めて、その目標に向かってひたすら勉強をして受かったら燃え尽き症候群になってしまう...ということは私だけではないと思います。

 

自分は今がいざ勝負の時、ぐらいに思っていても生きている限り、後から振り返れば長い道のりの一つのマイルストーンにしかすぎません。

 

通訳学校を卒業するということも、

この人の通訳をしたい、と目標設定して達成することも、皆同じだと思います。

 

通訳は一生完成しません。一部パーフェクトに出来ている部分もあれば、イマイチなところもあり、改善すべきところもあります。人の言葉は変化し続ける上に、どこまでいっても他人の言葉を訳すので、これが正解だ、ということはありえません。他人から褒められることはあっても自分のパフォーマンスは問題ないと思うことがあっては、裸の王様状態です。他人の批判をするなどまったくもって考えられません。

 

 

 

通訳学校を卒業してもそれはどうにかフリーランスで話にならない程度ではない、くらいの意味でしかなく、そこからどうやってフリーランス通訳者として成長していくかは、卒業した後が肝心です。

言い換えれば、卒業して必死に目の前の仕事をこなしているだけでは、卒業した時と変わったところは少ないと思っていいと思います。唯一場慣れは、します。

 

仕事で育ててもらえるのは社内通訳の仕事です。トライ&エラーが可能だからです。

午前の会議で出た分からない意味を社員に聞いて分かる、午後の会議に出る、さっきの知識とプレゼン内容がつながった!というように、失敗してもその検証が出来て、同じような場面で生かすことが可能です。ラグビーでいうテストマッチです。どこかの監督が話していました、本番ワールドカップではないために色々試せる、自由度が高く、プレッシャーも少ない、と。

 

フリーランス通訳は毎回毎回の仕事が本番です。私たち通訳者は辞書ではないですし、神ではないので相手の言ったニュアンスが全ての発言で100%伝わるような失敗ゼロの仕事の方が少ないです。大小関係なくカウントすれば。

ですがフリーランス通訳は検証をして、確認して、再トライ、が出来ません。特に同時通訳などは録音していない限り自分が元の発言からどれほど逸脱していたか、どこを勘違いしていたか、一生分かりません。自分を厳しく監視する、その必要性を意識する、そこがまず第一歩だと思います。

英語専修Ⅳ受講&英検1級 2/6

前回に続き。

2012年10月期から通うつもりで学校に手続きに行った際に初めて、通訳テストというものがあることを知ります。当時の心境は、英語を極めたい、しかありませんでした。通訳者になるための学校だとは知っていましたが、本気で通訳者になるつもりはありませんでしたので、通訳テストは断り筆記の英語試験だけ受けて、英語専修Ⅳというクラスに入ります。英語総合力を上げましょう、というクラスです。

リスニング、リーディングと週替わりでした。

 

ディクテーションや、パラフレージング、穴埋め問題、サイトトランスレーション、和訳などを行ったと記憶していますが、リスニングに毎度悩まされました。特に当時は対策はうっていません。

 

当時は宿題として言われていたことを全部やって出席していました。出来ないことがあることが楽しかったことだけは覚えています。先生が教室に向かってこの部分は言い換えたらどうなるかという質問を出すたびに、手を挙げていたことも覚えています。当時クラス担当講師が英検面接、採点審査員をなさっていて、英検1級対策クラスなど教えてらっしゃいました。英検1級はどうやら難しいらしいということ、TOEICよりも断然難しいことが分かったので、難しいことにチャレンジするのが好きな私はこの頃英検1級の勉強を始めました。当時この単語帳CDを何度聞いたことか、、笑

 

CD-ROM付 改訂版 キクタン英検1級

 

文法問題集なども買って対策をし、2013年年頭に合格します。

 

当時は英会話学校の非常勤講師として働き始めていましたが、英検1級をもっているとボーナス給料が出るということもモチベーションアップにつながっていたと思います。

 

英語の総合力、話す力の基本を固めたい方は、英検1級をまずとることをおすすめします。読む力も聴く力も、話す力も、書く力もないと合格しませんので、わたしはTOEICより断然英検派です。

フリーランスの世界

社内通訳をやめてフリーランスになったら冷たい世界なのかもしれないと構えていました。こんな内輪で喜ぶこともないし、毎日会って声をかけてくれる人もいない、とにかく通訳をして帰ってくるだけ、と。

 

情けが入らないパフォーマンスベースの世界という意味では冷たいですし、そこは以前の認識と変わりません。逆に良いパフォーマンスを出すことでまた今回も、と声をかけて頂く幸運なこともあります。

 

フリーランスは基本的に1人で動き回り他の通訳者ともお客様ともこんにちは、さようなら、ですが、温かい世界は都度感じることが出来ます。

 

何マイルも離れていたのが信じられないくらい『前回の続き』のようなお客様もいらっしゃれば、

笑ってしまうような感動の再会に近いお客様もいます。

お客様と1つのチームになってピッチをし、案件獲得を目指す熱い現場も、あります。

 

もちろん淡々としている仕事もあります。通訳をして帰ってくるだけ、という。

 

でも私が聞いていた話から勝手に思い描いていた通訳の世界とは少し違った温かみを、そして社内通訳とはまた違った温かみを、感じられる世界です。社内通訳のように本当に昨日の続きでまた顔を翌日も合わせるという日が続くことはないので、気持ちの切り替えがとても大切になります。次は全く違うお客様なので。

 

とはいえパフォーマンスベースというところは変わりません。ずっとお願いしていたからまた次もという保証はありません。前回上手くいったからといって今回上手くいく保証はありません。

超一流になるのは才能か努力か?

は読んだことある方多いと思いますが、ある一定の水準で仕事が出来るようになって負荷をかけないで続けているとむしろ技能は落ちていることが書かれています。スポーツの世界も、医師の世界も例外なく。ということは通訳も同じです。過不足なく仕事が出来ていてそこに負荷をかけなければ、技能は落ちていくんですね。

今日も気を引き締めていきたいものです。

通訳学校をどう選んだか1/6

通訳者になった今の話ばかりでは勉強中の私だったら退屈すると思うので通訳学校当時にどんなことをやっていたか振り返りたいと思います。これまでのブログ記事ですでにどんな経緯で通訳者になろうと思ったかを書いてきました。このブログでのアクセス数が一貫して高い記事たちなので、きっと皆さん通訳学校中の勉強などに関心があるんだろうと思います。

 

 

今回はひとまず、通訳学校をどう選んだか、です。ひと言で言うとアドバイスや後知恵みたいなものはなにもありません。

たぶんどこに行っても自分で、やるべきことをやって、量をこなして、センスを磨き、質をあげる努力をすれば輝けると思います。逆に自分でやるべきことをやる努力をしないと、どこにいっても鳴かず飛ばずだと思います。独学で通訳者になった方もいるのでそのあたりはなんとも言えませんが、通訳学校に通うメリットは#1客観的なフィードバックが頂けること、#2現役通訳をしている人のレベルがどのくらいか見ることが出来ること(つまり、場合によっては自分がゴールからどれだけ遠いか分かること)、#3どのクラスにいるかで、またそのクラス内の自分のパフォーマンス具合で自分の位置感が知れることが一番大きいのではないでしょうか。

 

私は昔から「最大手」や「普通はこうする」はつまらないと感じる人間で就活もしませんでしたし、バッターボックスに立つのは4番ではなくて3番の時代の方が好きでした。英会話学校でも自分が主任になるより右腕で働いている方が好きでした。ということでまず最大手は選択肢から切ります。

スポーツの世界何でもそうですがスポットライトを浴びている王座をキープするよりも、二番手と思われているところから追い上げる方が楽しいです。

 

 

それましたが、最終的には受付の感じがいいインタースクールにしました。(そこで決めるの!?という感じですが、毎週通わないといけないので、反応も悪く感じが悪い受付は通りたくありませんよね)

それから今も出版されているような通訳翻訳ガイド上を見たとき通訳学校の説明に「知的」「知性」という言葉をスクール代表者が使っていたのはインタースクールのページだけでした。どうせ英語を極めるならそんな英語を身に着けたいと思ったのも結構大きな理由です。

 

毎週通うので行ったときの雰囲気や直感でいいかもと思った学校は最終候補リストには残しておいた方がいいかもしれません。

下調べ

実際に通訳をしていてつまずきやすいところは、端的に説明されている資料に現れている単語ではなくて、そのトピックに関する周辺の単語です。

 

これあまりよく知らないなと思ったら少し調べておく。そうすると質問でツッコまれた時に言葉を尽くして説明するであろう内容がすぐ推測出来ます。そうした下調べをしておくと、なぜそのような発言になるのか、何をつまり言いたいのか、ピンときたりします。そんなことばかりではありませんが。

 

そういった下調べは馬鹿に出来ません。

dawn

夢を見た

 

 

 

 

目を開けたら現実が待っていた

平日か週末か区別のつかない日々へと

飛行機からタクシーまであらゆる交通機関にお世話になって今日も言葉の中に生きる私です

 

もう何年経ったのか

もうあなたは見ていないと思うけど

 

まだ静かで薄暗い東京

 

ひとたび電車に乗れば昨日の疲れを引きずってベッドから出てきた東京都民

 

後部座席で紅いブレーキランプに照らされてまた明日を楽しみにしていた日々が昔のようです

 

この広い空の下で会えないけれど今日も素敵な一日を暮らせますように

静かに祈ります

deliberate practice

ぼーっとしようという記事それに続く密度の濃い練習をを書きましたが少し誤解を招きやすい書き方をしたので、もう一度パフォーマンス向上について書きます。

 

 

端的に言うと、パフォーマンス向上にはdeliberate practiceとdeliberate restが必要。

 

 

deliberate practiceについてよく知りたい方はJames Clear氏のこちらのサイトを参照してください。James Clear

100万部ベストセラーとなった、Atomic Habits: An Easy and Proven Way to Build Good Habits and Break Bad Onesの著者です。

 

がむしゃらに長時間トレーニングをしても伸びるわけではありません。そこが前提です。

前回の記事タイトルのようにぼーっとする時間を作ればパフォーマンスがあがるわけではありません。つまり、基本的なトレーニングを日々行っていることが前提。ずっと続けていると、だんだん慣れてきますよね。繰り返される行動に関しては脳が自動的に出来るようにするシステムなためだそうです。だからその段階から、deliberate practiceが必要だ、ということです。

 

何を改善したいのかを意識し、

全体のパーツを崩して細かな部分のトレーニングを行い、

客観的な数値やフィードバックをもとに改善を図るのが、

deliberate practiceです。

 

従って同じアクティビティを繰り返すと慣れますが、スキルやパフォーマンスが向上するわけでは、やはりないようです。そのフィールドに長くいれば、どんどん優秀になるかというと、それはないんですよね。

 

Too often, we assume we are getting better simply because we are gaining experience. In reality, we are merely reinforcing our current habits-not improving them.   - https://jamesclear.com/

 

だからパフォーマンス向上を真剣に考えるパフォーマンスベースの職業人はdeliberate practiceをするわけです。

通訳も全く同じですよね。

 

上記を踏まえると、例えばただ同時通訳の練習をしても毎日やっても意味がないわけです。だってそれで仕事をしているのだから出来て当然です。その今のレベルで至らない部分を補強する練習、今できないことをする練習が必要になるということですよね。何分やったか、何回やったかは単純な数値なのでほぼ意味がありません。

すごく具体的な客観的なゴール設定が必要になります。

 

例えば、

一段落分のリプロダクションを聞き直すのは2回までを目標に、実際にどのくらい聞き直して行えたか記録をつける。

忘れてしまうのはどのあたりで、なぜなのか。単語か?速さか?

それによって、そこからまた必要な練習メニューも変わります。

 

外国人に聞いてもらって辛口フィードバックをもらうのもおすすめです。