通訳者Mのブログ

通訳と、人生と。

備忘録 2017

雲が目の前にあって、どこか遠くに地面が見える

 

見えてるけど私は宙に浮いていて

 

えーと単語単語、と手をがむしゃらに振り回すと普段はそこにある単語たち

 

うまくいかないときは、そんなにいらないのに脳みそがたくさん単語を提示してくる

 

普段はがむしゃらに振り回しているのに、逐次通訳の時より時間がたくさんある感覚

 

 

脳みそがin actionの時は、蛇が地面を這うように、聞けていて、話せていて

これでハッピーな毎日です

山手線へのエスカレーターをおります

ホームには電車が到着しました

突然前の人が止まります

エスカレーターで歩こうと思っていた人たちは右左に顔を出します

 

 

 

環状七号線を等間隔で時速55キロで車が走ります

あれ、曲がるところはここだっけな、と急ブレーキを踏みます

その車線の流れはせき止められます

 

 

 

朝の新宿で切れた定期券で改札を通ります

その改札を通れると思って早足で歩いてきた通勤者がどどどっとせき止められます

 

 

 

これでイケると思って文章を作り、通訳し始めます

あ、思うように文章がつながらなそうだ、どうしようか、と止まります

聴いている人はそんな大変なことを訳そうとしているのかと不安になります

 

 

日常生活では流れが止まることはしょっちゅうあります

自分の中では、流れを止めないことです

流れを止められた感覚になってはいけない

 

流れを止めずに、その流れに、のる

 

ハイハイハイあるね、そういうこともあるね、とかわすのです

かわすというのは、なかったことにするのとは違って

流れが止まるのを感じても、なにも起きなかったかのように自分の中では流れを0.1秒後には再開することです

 

 

こんぺいとうの踊りのように、右足を踏み出したら回転する流れになります

回転したあとはまた右足を前に出すのです

 

 

eye to the sky, feet on the ground

すぐに効果が出るものって人生に少ないんじゃないかと思う。

すぐにその意味が分かることも多くないと思う。

 

効果が出るか分からないけど出ると信じて実行した人にしか、何を意味するのか分からなくてもとりあえず「はい」と実行する人にしか、その効果は、意味は、見えないんじゃないかと思ったりする。

 

それは通訳でも、プライベートでも。

 

 

 

でも最初から長期の目標だけを狙って進んでいくのは、厳しい。

意志がもたない。

 

企業だって長期的な方向性はあれど、そんなところを目指して群で動いていくなんて不可能に近いから中期経営計画を出す。

 

だから、長期的な目標を設定しつつ、短期、目の前で乗り越えないといけないハードルを設定する。長期の目標をクリアするのに、最短ルート。

Common values? No need.

ビル7階を歩いている人の視界があります

 

39階を歩いている人の視界があります

 

 

この2人の見えている景色は違います

 

39階を歩く人には7階の人が見える景色が見えています

7階を歩く人には、7階までの景色しか見えません

8階から上のことについては、39階を歩く人とは共有出来ません

 

7階を歩く人は7階にいる人と出会います

7階にいる人は12階にいる人とは顔を合わせません

 

 

7階にいる人が34階を覗く機会があったら

7階のルールを当てはめて考えようとしないことです

7階の景色が見えたうえで、34階のルールは決まるからです

 

34階に上がりたければ、34階のルールに7階にいるうちに慣れておくことです

雨とトマト缶

店内は珈琲豆を挽いた煙でうす茶色い

 

ドリッパーの白い陶器を丁寧に包んでもらって

樽に入ったいつも頼まない種類の豆、その歴史が手書きで書いてある

 

挽いてもらっている間に珈琲が飲める一角が設けられている

机に雑誌や切り抜きの新聞集が重なっている

消えゆくローカル線、という題の雑誌が目に入る

 

 

外は相変わらず冷たい雨

首からかけていたイヤホンを耳にしようとして

雨の音が鼓膜に響いて、このまま雨を聴いて帰ろうかな

 

ヒールの音と雨のパチパチする音と

濡れた道路を車が走って猫が忙しそうに横断する

 

買い物袋の中で揺れるトマト缶

 

 

this is my life

何もない、色々ある日常

 

ダイナミックなパーティーや鋭い視線が飛び交う会議室で通訳をして、

達成感のある心地いい疲れがある時ばかりが人生じゃない

 

あなたと手をつないで、電車に揺られて他愛もない話

混んでくる車内でよく見えるスーツの色

 

何でもないひと時

 

 

こういう何もない、ニュアンスのある日が数珠みたいに連なって、ストーリーになる

ストーリーを語ろうと思って生きるんじゃなくてね 

仕事をしよう

違う業界の人と話をしました

 

やはり共通して盛り上がるのは『プロとは』です

 

色々あると思いますが

顔の色を変えずに、「仕事をする」ことはそのうちの一つに入ると思っています

 

 

「仕事をする」とは、お客様がやってくれるだろうと思っていることをやり遂げることかな、と。これは当たり前のようでいて、難しい話なのです

 

何も考えずにいつもと同じようなことをしていれば「仕事になる」と思っているのは、本人は仕事をしていると思っているだけで、実はしていません

 

「仕事をする」というのはmission をcompleteさせるという、次元の高い話なのです

missionをdoするとは言いません

missionは自らに課された、目標達成にむけ遂行すべき課題だからです

do するのは何も考えなくても誰でも出来ることであって、

プロのやることではありません

 

 

 

美学にあふれる銀座

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通訳と振り子と。

逐次通訳は、

聴いて→理解して→話す

 

このプロセスにはいろいろな要素があって、

単語力、文法理解、リスニング力、読解力(聴解力)、パブリックスピーキング力

 

もっとあるかもしれません。

人によってこの要素が必要、というのは違うかもね。

 

単語力、文法理解は当然のことながら、リスニング力も異論はないと思います。

リスニング力と言っても、例えばシャドーイングを綺麗にできるからといって、意味も一緒に耳に入ってきているかどうかは大事です。音と単語と意味がセットでぐんぐん入ってくる、のがリスニング力としてカウント出来ます。

 

読解力(聴解力)は、

I demand that your team be aligned to accelerate the pace of progress

が聴こえてきた際に、瞬時にこの人は何を云いたいのかを掴めるかどうかです。

この文章をこう目で見れば、高校生でも和訳出来ます。

聴こえてきたものを瞬時に、日本語しか分からない人に対してストンと腹落ちさせるように、自分がストンと理解出来ているかどうかです。瞬時に理解するという意味で、同時通訳スキルを上げると逐次通訳にも相乗効果があると私は思っています。

 

初心者であっても、自ら語る内容を理解しきれていない人が一生懸命話しているのを聴くと、『この人、実はあまりよくわかっていない』ことはバレます。

本来、人に理解してもらうには自分がそれ以上に理解していないといけないのです。

 

 

パブリックスピーキング力は、アナウンサースクールに行かなくても、特別なコースを取らなくても、レコーダーで自分が話すのを録れば、改善出来ること。

 

パブリックスピーキングと仰々しく言う必要もなくて、人に分かりやすく、聴きやすく、話せる力ですよね。他人の立場にたって、どう聴こえるかを意識するということ。

 

 

 

こうした分かりきったことをたまには立ち止まって点検するのは大事なんだろうね。

振り子のように、手慣れたと思っている時がこわくて。

半自動で出来ることが多くなれば、それだけ点検の心がけが必要なんだろうね。

 

徐々に自分の常識と一般常識とずれていることは誰も指摘してくれず、干されていくのがこの職業の恐ろしいところなんだろうなあ、と猫に餌をやりながら思う夕方でした